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05/11/2004

アクレサンドル・ヘモン『ノホエア・マン』読了

サラエヴォ包囲という事件が一体どれくらい前に起こったのかさえ、忘れてしまったような気がする。その頃(と言って著者略歴を調べてみる…)、まだ小学生だったわけで、きちんとした理解力があったわけではないかも知れないが、毎朝の新聞は隅から隅まで読んでいたし、その当時住んでいた国には実際難民が押し寄せていたりしたので、「難民キャンプだよ」と噂される場所も見かけたことがある。それでも、ちっとも覚えていない。

この本は、そのサラエヴォからアメリカに旅行中に包囲が始まってしまい、アメリカに残ることを余儀なくされた作家が(英語で!)書いた初めての長編である。この小説の主人公もヘモンを引き写すかのように、サラエヴォから逃れてきた。

この小説がわたしにとって新しかったのは、主人公のヨーゼフ・プローネクは、何か行動する主体であるよりも、「わたし」やその他の登場人物に観察される客体として描かれていることである。ともすれば、一つの章の中でプローネクの果たす役割が脇役的なのではないか、と思いたくなるような箇所も多いのだ。それがふるさとを離れた時に感じる「見られている感じ」を表現しているのかどうか、わたしはわからないけれど、中々素敵な構成だと感じた。

帯に突っ込みを入れるのはルール違反と知りつつ、島田雅彦の帯書きはちょっとどうか、と。本当に読んでああ書いているのかしらん?

  • アレクサンドル・ヘモン『ノーホエア・マン』白水社、2004年。2300円。

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    verlinkt am 05/17/2004 um 23:51

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